元暦校本万葉集 |
「春過ぎて夏ぞ来ぬらし白妙の衣(ころも)かはかる天の香具山」
画像ではちょっとわかりずらいですが、この有名な歌が、右一行に漢字で、左二行にかなで書かれています。
万葉集は奈良時代に万葉がなで書かれたと日本史で習いましたよね。
でも、この万葉集が書かれたのは、鎌倉時代の初め。字も万葉がなより随分洗練されています。
万葉集は全二十巻。何人かで分担して書かれました。
巻二十の奥書(本文の後)に「元暦元年に校合(=校正)した」と書いてあったことから、元暦校本万葉集と呼ばれています。
この歌は、巻一にあります。巻一の筆者は、高野切第3種の筆者と同じで、高野切は若い頃、こちらは晩年に書かれたという説もあります。
上下に墨で罫線が引いてあるせいか、高野切より表情が硬く感じられますが、武家社会が始まろうとしているさなか、貴族の雅やかさが残る作品となっています。